- 連載第11回(2015.06.12)
- 「五百羅漢」羅漢寺
古代から繁栄してきた播磨エリアは、実は奈良・京都に匹敵するほど、歴史ロマンに溢れているエリアです。
このコラムでご紹介しているジルジレットゆかりの西脇市や加東市とともに、北播磨を形成する加西市もそのひとつ。
たとえば、加西市の歴史ロマンを現代に伝える玉丘古墳群は、5世紀前半に築造された前方後円墳で、1300年前に編纂された「播磨国風土記」に根日女の悲恋伝説とともに記載されている稀な古墳としても有名です。
そんな「花と緑と歴史のまち・加西」へお越しいただくには、ローカル鉄道の旅・北条鉄道がおススメです。北条鉄道は、小野市にある「粟生(あお)」駅が始発駅。粟生駅には、JR加古川線、北条鉄道、神戸電鉄粟生線の3線が乗り入れています。
北条鉄道は、今年、播州鉄道北条支線として開通100周年。北条鉄道として、開業30周年を迎えています。
わずか8駅のローカル鉄道で、粟生駅から終着の北条町駅まで約22分、運賃は410円です。
上下ともに1時間1本程度の運行ですから時刻表を確かめてからお出かけくださいね。
終着の「北条町」駅周辺は、兵庫県歴史的景観地区に指定されている綺麗な町並みで、ここを起点にいくつかの歴史スポットをコンパクトに巡ることができます。
奈良・京都だったら、大人気スポットになること間違いなし、と言えるぐらいおススメの町です。
ご紹介したいスポットはたくさんありますが、今回は「五百羅漢(北条石仏)・羅漢寺」をご紹介します。
北条町駅から北西方向へ、昔ながらの街道や宿場町、寺町をぶらぶらと歩き、栄華を残す商家や歴史ある神社仏閣などをのんびりと見学した後、北条小中学校の間の小さな路地を抜けると、このお寺に出会えます。
拝観料200円を支払って中に入ると、よく手入れされたこじんまりとした境内に約450体の石仏が整然と鎮座しています。
制作者や制作年代、制作意図などは一切不明ですが、四角柱の石材に顔を彫り、体には簡単な線描や薄く彫った手があるだけの素朴な技巧が、逆に一体一体の表情に個性を作り出していて、何かしら心に訴えかけてくるものがあります。
一説では、慶長年間(1600年~1615年)の作とされていますから、現代まで約400年間、風雨にさらされてきた喜怒哀楽それぞれの表情がなんともいえない哀愁を誘います。
450体の中に、親や知人、自分自身に似た石仏が必ずあるといわれていますので、ぜひ探してみてください。
静けさの中、境内のベンチに座ってこれらの石仏と向き合っていると、時の経つのを忘れてしまいました。
境内北側には、全国で2番目の古さという「来迎二十五菩薩像」もいらっしゃいます。
ご本尊の薬師如来像も大変優しいお顔で、本当に心癒されるお寺です。
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